所得税法でいうところの所得は10種類あり、さすがに全部まとめると5分では、読めないと思うので今回は、「事業所得」をご紹介したいと思います。

以前書いた「副業の確定申告【雑所得】」も合わせて読んでいただけると確定申告についてよりわかるかと思います。
「事業所得」と「雑所得」の判定についても、令和4年「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)を合わせてご紹介しています。

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10種類の所得

所得税法上の所得は以下の10種類になります。

  • 給与所得
  • 退職所得
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 事業所得
  • 雑所得

事業所得とは

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。

ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。

 No.1350事業所得の課税の仕組み(事業所得)から抜粋

事業所得の収入

事業所得の所得額の計算は、「総収入金額ー必要経費」になります。
総収入額とは、売上額だけではなく事業として得た収入のすべてになります。
事業用の土地、建物、車などの資産売却で得た収入や、事業で加入している保険の保険金、受け取った配当金や利息なども含まれるということです。

事業所得の必要経費

事業として収入を得るための必要経費であり当然、生活費などの事業と関係ないものは認められません。
作成する帳簿上では、生活費等の経費にならない個人的支出を「家事費」と呼び事業主に貸付けるという処理をします。

その他でも事業所得の場合、確定申告を青色でするか白色でするかによって経費にできるできないが変わってきます。

青色申告者の場合

  1. 要件を満たせば実際に払った給与額を経費にできる青色専従者給与の特例
  2. 一つにつき30万円未満の購入まで減価償却せずその年に全額経費にできる
  3. 「貸倒引当金」の計上ができる。

このほかにも、経費の話ではないですが青色控除の55万円(電子帳簿、電子申告の利用で65万円)は有名な話ですね。
また青色申告者は、いわゆる赤字(純損失)を翌年以後3年間、繰越ができます。簡単に例えると今年赤字で終われば来年は、赤字スタートにできるということです。
逆に去年は黒字だったのに今年は、赤字だった場合「純損失の繰り戻し」ができます。この制度を使うと去年分で払った税金が還付(返却)されます。

白色申告者の場合

  1. 専従者給与は配偶者で86万円、その他の親族で1人50万円
  2. 一つにつき10万円以上の購入は減価償却の対象になる。
  3. 「貸倒引当金」は計上できない

白色申告を選択した場合、青色控除や赤字(純損失)の繰越も繰戻しもできません。

ちなみに「貸倒引当金」は、翌月支払や後日入金などの売掛金などで決算期をまたぐものに対して支払元(お客さんやクライアントなど)に支払い能力がなくなった時のために設定しておく金額です。
白色申告の場合、「貸倒引当金」が認められていないのでいくら設定しても所得税の対象になります。

記帳・帳簿等の保存

青色申告、白色申告どちらにしても記帳・帳簿の保存が義務付けられています。

記帳する内容は、日々の売上、仕入、経費について以下のような事を記載します。

  1. 取引の日付
  2. 売上先や仕入先、取引先の名称
  3. 取引金額
  4. その他必要事項

帳簿・書類の保存期間

作成した帳簿以外にも、請求書や領収書など取引を証明するのに必要な書類にも保存義務があります。
下記は、国税庁HPより加工して掲載しています。

青色申告の方の記帳・帳簿等の保存制度

白色申告の記帳・帳簿等の保存制度

令和5年からの確定申告書

令和4年まで確定申告の申告書にはAとBの二種類ありましたが、令和5年1月から申告書Aは、廃止され申告書Bに一本化されました。
もともと申告書Aは、給与所得の申告等に使われていて事業所得は申告書Bが使われていました。
申告書の書き方は、また別の記事で紹介できればと思います。

終わり

今回は、「事業所得」について紹介しました。確定申告が開始される時期に書いていますが、ご自分で申告される方のお役に立てればと思います。