前回の、相続の流れ【前編】(3ヶ月でやる事)の続きになります。
今回は、後編で10ヶ月でやる事を書いていこうと思います。
ここから我々、税理士の出番も増えてきます。
また、手続き等が不十分だと後々のトラブルになる事もあり得ますので是非ご確認ください。
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準確定申告
準確定申告とは、亡くなった方の生前に得た収入を確定申告する事です。
通常の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間分の所得を申告ますが、準確定申告は1月1日から亡くなった日までの所得を申告します。
【4ヶ月以内】
準確定申告の申告期限は、相続があった事を知った日から4ヶ月以内です。
通常の確定申告の期限と違いますので注意が必要ですね。
【準確定申告が必要な人】
亡くなった方が次の条件に当てはまる場合は、準確定申告をする必要があります。
- 自営業者だった場合。
- 2カ所以上から給与の支払いを受けていた場合。
- 2,000万円以上の給与所得があった場合。
- 400万円以上の年金受給があった場合
上記の場合、相続人が共同で連署した上で申告を行います。
【準確定申告が必要とならない人】
- 給与所得を1ヶ所からしか受けていない場合。
- 準確定申告をする相続人が相続を放棄した場合。
- 年金受給が400万円以下で、その他の収入が20万円以下の場合。
上記の場合、申告をする必要はありませんが、保険控除や、寄附金控除を受ける場合などには、申告する必要があります。
また勤め先で年末調整を行なっていなかった場合も申告が必要です。
遺産分割協議
遺産分割協議に特に期限はありませんが、相続人全員で行う必要があるため、時間を要する場合もあります。
また、相続問題の大半がこの遺産分割協議において、話し合いがうまくいかないなどで起こります。
特に相続人が複数いる場合、協議前の財産は、共有状態にありますので使用や処分、名義変更などは、相続人の全員で行わなければなりません。
勝手に使用したり処分してトラブルにならないよう早めに開始しておきましょう。
協議がまとまったら遺産分割協議書を作成し、以降の様々な手続き用います。
相続税の申告
【10ヶ月以内】
相続税の申告は、相続がある事を知った時から10ヶ月以内です。
期限を過ぎてしまうと、延滞税が加算され期限の翌日から2ヶ月までは、7.3%、そこからさらに2ヶ月遅れると14.6%上乗せされます。
【申告する人】
基本的に相続人(遺産を受け取った人)が個々に行いますが相続人が複数いる場合、共同で申告書を作成し連署の上、申告する事もできます。
【添付書類】
- 戸籍謄本
- 遺産分割協議書の写し
- 各相続人の印鑑証明
- 預貯金・借入金の残高証明書
- 保険金・死亡退職金などの支払い証明書
- 不動産の登記事項証明書固定資産税評価証明書
相続財産にもよりますが主に上記のものを添付書類として提出します。
【申告】
被相続人(亡くなった方)の居住地の税務署へ申告します。
納税は、金融機関かコンビニやインターネットなどでもできます。
相続税の計算は、それほど難しくありませんが、控除や特例が多く存在するため、我々のような税理士にご依頼頂くのが良いかと思います。
名義変更・各種解約
ケースに応じて期限は異なりますが各種、名義変更や解約も早めにやっておきましょう。
よくあるものとして
- 不動産名義変更
- 預貯金の名義変更
- 自動車所有権の移転
- クレジットカードの解約
- 公共料金各種の名義変更
- 携帯電話の解約
- 運転免許の返却、など
【口座凍結】
特に預貯金の名義変更は、金融機関が預金者が死亡したことを知ると「口座凍結」として入出金の停止をしてしまいます。
重要な支払等が残っている場合は、早めに引落とし口座の変更をしましょう。
また、口座が凍結されないからと言って名義変更をせずに引出し等を行うと遺産分割協議などでトラブルになりますし、故人の財産管理に対しての不信感になります。
【預金の払い戻し制度】
2019年7月1日に施行された民法改正(相続法)において「預金の払い戻し制度」が新たに創設されました。
この制度は、遺産分割協議より前に相続人の一人が単独で預貯金の継承手続きをできるようにしたものです。
簡単に言うと相続人が協議が終わる前に預貯金の一部を引き出せるということです。
預貯金の一部とは、法定相続分の1/3以内(口座基準)かつ150万円が限度になります。
遺産分割協議に時間を要する間、すぐにお金が必要な事情がある場合有益な制度になります。
終わり
さて、基本的にやることは網羅したと思います。
ですが、状況などによってこれら以外にも手続き等が、必要な場合もありますので各専門家と相談、確認する事をお勧めします。
故人に悔いが残らないよう、綺麗にまとめられると良いですね。
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