【決算書の読み方】損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)
会社の「稼ぐ力」と「収益の構造」を一目で表す決算書、それが損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)です。
今回は、売上高5,000万円規模の法人をモデルケースに、一般的なテンプレートに沿って「どこに注目して決算書を読み解けばよいのか」を分かりやすく解説します。
貸借対照表(B/S:Balance Sheet)の記事はこちらから
【実例サンプル】損益計算書(税抜き会計)
202X年度(自:202X年4月1日 至:202X年3月31日) (単位:千円)
| 区分・勘定科目 | 金額 | 構成比・指標 |
| Ⅰ 売上高 | 50,000 | 100.0% |
| Ⅱ 売上原価 | 15,000 | 原価率:30.0% |
| 売上総利益(粗利) | 35,000 | 粗利益率:70.0% |
| Ⅲ 販売費及び一般管理費 | 27,105 | 販管費率:54.2% |
| 営業利益 | 7,895 | 営業利益率:15.8% |
| Ⅳ 営業外収益(受取利息、雑収入など) | 500 | |
| Ⅴ 営業外費用(融資の支払利息など) | 200 | |
| 経常利益 | 8,195 | 経常利益率:16.4% |
| Ⅵ 特別利益 / Ⅶ 特別損失 | 0 | |
| 税引前当期純利益 | 8,195 | |
| 法人税、住民税及び事業税 | 3,300 | |
| 当期純利益 | 4,895 | 売上比率:9.8% |
損益計算書の全体像:5つの「利益」を押さえる
損益計算書には、上から順番に5つの利益が計算されています。今回のサンプルをもとに、それぞれの意味を見ていきましょう。
【視覚図解】P/Lにおける利益の5段階構造
①売上総利益
売上総利益(3,500万円) = 売上高(5,000万円)ー 売上原価(1,500万円)
見方:本業の商品やサービスそのものが持つ「基本的な稼ぐ力」です。今回のケースでは原価率が30.0%(粗利益率70.0%)となっており、非常に付加価値の高いビジネス(技術力が高い建設業や、元請けメインの体制など)を行っていることが分かります。
②営業利益
営業利益(789.5万円) = 売上総利益(3,500万円)ー 販管費及び一般管理費(2710.5万円)
見方:会社の「本業での実力」を表す最も重要な指標です。売上総利益から、人件費や家賃などの固定費(販管費)を差し引いて残った利益です。営業利益率は15.8%と、同規模の企業平均と比べても非常に高い水準を確保できています。
③経常利益
経常利益(819.5万円) = 営業利益(789.5万円) + 営業外収益(50万円)-営業外費用(20万円)
見方:本業に加えて、財務活動(預金利息や借入金の金利支払いなど)を含めた「会社全体の経常的な実力」を表します。銀行が融資を審査する際、最も重視する利益がこの経常利益です。
④ 税引前当期純利益
税引前当期純利益(819.5万円)
見方:その期に発生したすべての収益からすべての費用を引いたものです。今回は一過性の損益(固定資産の売却や災害損失など)である「特別利益・特別損失」が0円のため、経常利益と同額になっています。
⑤ 当期純利益
当期純利益(489.5万円)= 法人税等(330万円) - 税引前当期純利益(819.5万円)
見方:見方:税金を支払った後、最終的に会社の手元に残る「本当の取り分」です。
販管費及び一般管理費
一般的に「固定費」と呼ばれ、売上がなくとも会社が営業する限り発生し続ける費用とされます。最低でもこの数値分の売上を上げなければ必ず赤字となります。
【別紙実例】販売費及び一般管理費の内訳
※上記の損益計算書(Ⅲ)の販管費「27,105,000円」の具体的な内訳です。(単位:千円)
| 勘定科目 | 金額 | 備考・社内指標 |
| 役員報酬 | 5,000 | |
| 給料手当 | 12,000 | |
| 法定福利費 | 2,805 | 人件費合計(1,700万)の16.5%が標準的 |
| 地代家賃 | 1,800 | 売上高の3〜5%(飲食店や小売店の場合は10%程度まで)が一般的な目安です。 |
| 接待交際費 | 1,500 | 売上高の3.0%、一般的な目安は1%〜2%未満です。 |
| 車両費 | 1,200 | |
| リース料 | 1,000 | |
| 支払手数料 | 800 | |
| 減価償却費 | 2,000 | |
| 水道光熱費 | 400 | |
| その他諸経費 | 600 | 租税公課、雑費、保険料など |
| 販売費及び一般管理費計 | 27,105 | 損益計算書へ連動 |
①役員報酬・給与
会社における人件費の部分です。業種別の売上高に対する人件費率は以下のようになります。
全国中小企業標準値
- 製造業(総平均)
人件費対売上高比率 34.6%
諸経費対売上高比率 23.3% - 小売業(総平均)
販売・管理費比率 34.7%
売上高対人件費比率 約14.4%〜18.8% - 卸売業(総平均)
販売・管理費比率 20.4%
売上高対人件費比率 約7.2%〜11.7% - 建設業(総平均)
一般管理費比率 14.9%
②法定福利費
基本的には社会保険料等(健康保険、介護保険、厚生年金、土建国保、雇用保険など)が計上されています。上記の人件費にあたる役員報酬・給与手当に対して標準的・適正値はおおよそ16.5%程度とされています。
③地代家賃
事務所、店舗、倉庫、駐車場などが含まれていることがあり一概に標準値は出ませんが業種により、売上高の3〜5%(飲食店や小売店の場合は10%程度まで)が一般的な目安です。社宅や賃貸契約更新料などが含まれていることもあります。
④ 接待交際費
売上高に対する一般的な目安は1%〜2%未満です。中小企業の場合、年間800万円までは全額損金算入できる税務上のメリットがありますが、金額が売上規模や利益水準に対して過大でないか(私的な飲食が含まれていないか)が税務調査等でチェックされやすい項目です。また令和8年現在では、一人当たり1万円までの飲食代を交際費としなくてよいとなっております。
⑤ 減価償却費
固定資産 of 取得額を法定耐用年数で割り費用計上したものです。毎年少しずつ償却されるため取得年月日が当期以前の場合、実際の手元資金が消費されないなど、利益が出ているのに手元にお金がない(黒字倒産)、または赤字なのに手元にお金がある、といった現象が起こる原因の一つです。
⑥その他諸経費
決算書にある損益計算書には勘定科目が省略され、その他経費として計上されるものもあります。画像(別紙内訳)では租税公課が掲載されていませんが、税込会計で作成されている場合、消費税納税額が計上されます。
【経営分析】経営を強くする管理会計へのアプローチ
損益計算書(P/L)の5つの利益を把握したら、次は「管理会計」の視点を取り入れてみましょう。税金計算のための会計ではなく、「経営の意思決定に活かすための分析」を行うことで、会社の収益構造や倒産リスクがはっきりと見えてきます。
経常利益率
売上高に対する経常利益の割合です。本業以外の財務活動なども含めた総合的な収益力を示す指標になります。
- 建設業 1.6%(総平均)3.4%(規模別平均)
受注生産が基本であり、案件ごとに原価(材料費や外注費など)が大きく変動します。そのため、どんぶり勘定にならず、個別の案件ごとの緻密な利益管理が極めて重要になります。※完成工事高対経常利益率 - 製造業 4.53%(黒字企業平均 4.1%)
工場設備や機械などの設備投資負担が大きく、安定した利益を出すためには稼働率を高く維持することが命となります。生産効率の向上とコストダウンが常に求められます。※別調査では平均 -0.4% - 卸売業 1.90%
工場設備や機械などの設備投資負担が大きく、安定した利益を出すためには稼働率を高く維持することが命となります。生産効率の向上とコストダウンが常に求められます。※別調査では平均 -0.4% - 小売業(飲食含む) 4.04%
食材費等の変動するコストに加え、家賃や人件費、水道光熱費といった店舗を維持するためのコスト負担が重い傾向にあります。リピーターを獲得し、客数と回転率をいかに維持するかが重要です。※飲食サービス業の数値 - 情報通信・IT 6.07%
モノを仕入れる必要が少ないため原価は低く抑えられますが、エンジニアなどの専門人材の人件費がコストの大半を占めます。付加価値の高いサービスを提供することで、高い利益率を維持しやすい構造です。※情報通信業の数値 - サービス業 (専門・技術) 4.78%
専門知識やスキルを提供する労働集約型のビジネスです。原価が少なく利益率が高い反面、売上が落ち込んだ際にも人件費や家賃等の固定的な支払いが重くのしかかるため、安定した顧客獲得が必須です。※学術研究、専門・技術サービス業の数値
②変動費(変動比率)・固定費(固定比率)
管理会計の第一歩は、P/L上の費用を以下の2つに分解することです。
- 変動費:売上に比例して動くコストの正体です。売上原価にあたり材料費、仕入原価、外注費などが当たります。
- 固定費:売上がゼロでも毎月確実に出ていくコストです。販売管理費及び一般管理費にあたり役員報酬・給与手当、地代家賃などが当たります。
売上高に対する変動費の割合です。変動費が売上原価にあたる数字なのでこの数値が高いほど売上1件当たりの利益が高くなります。また、変動費は売上とともに上下するので、変動費率で将来の売り上げ予想から売上総利益を予測することができます。
売上高に対する固定費の割合です。固定費は変動費とは違い売上によっては上下しませんので、この数値は現状の営業成績を推し量ることに使われます。固定費率が低いほど少ないコストで高い売上を上げているといえます。
今回のサンプルデータで限界利益を求めると?
前半のサンプルP/Lをもとに、売上原価「15,000,000円」をすべて「変動費」、販管費「27,105,000円」をすべて「固定費」と仮定してみます。
この場合のコスト構成は以下の通りとなります。
・総費用:42,105,000円(変動費 15,000,000円 + 固定費 27,105,000円)
・固定費比率(固定費 ÷ 総費用):約64.3%(固定費の重みが比較的大きい構造であることが分かります)
③限界利益
売上高から「変動費」を差し引いたものを「限界利益」と呼びます。これは、「固定費を回収するために最低限稼ぐべき利益」です。損益計算書の売上総利益と同じです。
売上が1円増えたときに、いくら利益が増えるか(固定費の回収に回せるか)の割合を示す「限界利益率」は、ビジネスモデルによって異なります。例えば、飲食業は限界利益率が高く、卸売業は低い傾向にあります。
今回のサンプルデータで限界利益を求めると?
・限界利益 = 売上高 50,000,000円 - 変動費 15,000,000円 = 35,000,000円
・限界利益率 = 限界利益 35,000,000円 ÷ 売上高 50,000,000円 × 100 = 70.0%
これは、売上高が100円伸びるごとに、固定費の回収(または利益の増分)に70円を充てることができる極めて強力なビジネスモデルであることを意味します。
④損益分岐点売上高:赤字と黒字の境界線
限界利益と固定費が等しくなり、利益も損も出ない(トントンになる)最低限必要な売上高を「損益分岐点売上高」と呼びます。
実際の売上高がこの金額を下回っている月(または期)は、手元のキャッシュが毎月確実に減っていく危険な状態を意味します。また、社長が「これだけの利益が欲しい」という目標利益を設定した場合、逆算して「いくら売り上げなければならないか(目標営業量)」を導き出すことも可能です。
今回のサンプルデータで損益分岐点売上高を求めると?
・固定費(販管費):27,105,000円
・変動費率(売上原価 ÷ 売上):15,000,000円 ÷ 50,000,000円 = 0.3 (30.0%)
・損益分岐点売上高 = 27,105,000円 ÷ (1 - 0.3) = 38,721,428円
この会社は、本業ベースでトントン(利益ゼロ)を死守するために年間で最低3,872万1,428円の売上が必要です。実際の売上高(5,000万円)はこれを大きくクリアしています。
⑤安全余裕率:倒産リスクを測るクッション
実際の売上高が、損益分岐点売上高からどれだけ「貯金(余裕)」があるかを示す指標です。
今回のサンプルデータの安全余裕率は?
・実際の売上高:50,000,000円
・損益分岐点売上高:38,721,428円
・安全余裕率 = (50,000,000 - 38,721,428) ÷ 50,000,000 × 100 = 22.56%
この企業の安全余裕率は「22.56%」です。安全の目安である20%を超えているため、仮に突然約11.2%の売上減少が起きたとしても、赤字(本業でのキャッシュ減少)には転落しない安定性を持っていると言えます。
⑥インタレスト・カバレッジ・レシオ:金利の支払い能力
銀行などに支払う「利息」に対して、本業の儲け(営業利益)が何倍あるか。利息の支払い能力。損益分岐点を超えて黒字化していても、借入金の利息が払えなければ会社は倒産します。この指標は、「本業の儲け(+金融収益)が、支払利息の何倍あるか」を表す、金融機関も重視する安全性の指標です。
評価指標(目安):
- 3.0倍以上:一般的な安全圏
- 10.0倍以上:非常に健全(優良企業)
- 1.0倍未満:危険水域(本業の儲けだけで利息を賄えておらず、借金の元本返済はおろか、利息の支払いのために追加融資や資産切り崩しが必要な状態)
今回のサンプルデータの金利支払い余力は?
・営業利益:7,895,000円
・受取利息(営業外収益):100,000円
・支払利息(営業外費用):200,000円
・インタレスト・カバレッジ・レシオ = (7,895,000 + 100,000) ÷ 200,000 = 39.975倍
この企業は、支払うべき金利の約40倍もの本業収益を稼ぎ出しています。金融機関から見ても「金利の支払いに一切不安がなく、融資を極めて行いやすい優良企業」と評価されます。
| 分析指標 | 測定する目的 | 評価基準・目安 |
|---|---|---|
| 安全余裕率 | 売上減少に対する企業の安全性・倒産リスク | 20%以上 で安全目安 |
| インタレスト・ガバレッジ・レシオ | 本業の利益による支払利息のカバー能力 | 3.0倍 以上(1.0倍未満は危険) |
| 付加価値率 | 提供するサービスや製品の生産性・競争力 | 同業他社の平均値との比較・前年比改善 |
| 損益分岐点売上高 | 黒字と赤字を分ける最低限の必要売上規模 | 実際の売上がこの金額を上回ることを維持 |
損益計算書から会社の状況を読み解くには
3~5期分の決算書で見る推移分析
ここまでの説明では1期分の損益計算書の見方について説明してきました。しかし1期分の損益計算書から読み取れるのは今期の結果のみす。3~5期分の損益計算書を並べてみることで会社の推移を読み取ることができます。
【サンプルA】伸びる会社のP/L推移
① 伸びる会社に見られる「良いサイン」
売上高や利益の金額が増加していることに加え、以下の「比率」の推移に注目します。
・売上総利益率(粗利率)の上昇
・営業利益率の上昇
たとえ原材料費などのコストが高騰している環境下であっても、製品やサービスの販売価格への適切な転嫁(値上げによる価格改定)ができていれば、これらの利益率は維持または上昇します。本業で稼ぐ力が強くなっている証拠と言えます。
| 区分・勘定科目 | 1期前 | 当期 | 翌期(予測) | 趨勢・分析のポイント |
| Ⅰ 売上高 | 45,000 | 50,000 | 55,000 | ↗ 順調に右肩上がりで増加 |
| Ⅱ 売上原価 | 14,400 | 15,000 | 15,950 | 売上の増加に対して原価が抑えられている |
| 売上総利益(粗利) | 30,600 | 35,000 | 39,050 | ↗ 粗利額も着実に増加 |
| (売上総利益率) | (68.0%) | (70.0%) | (71.0%) | ↗ 利益率も上昇(商品力の強化) |
| Ⅲ 販売費及び一般管理費 | 26,100 | 27,105 | 29,150 | ↗ 事業拡大(人件費や投資)に伴い増加 |
| 営業利益 | 4,500 | 7,895 | 9,900 | ↗ 本業の儲けが大幅増 |
| (営業利益率) | (10.0%) | (15.8%) | (18.0%) | ↗ 収益体質が劇的に強化されている |
| Ⅳ 営業外損益(差引) | 100 | 300 | 300 | 受取利息や支払利息などの純額 |
| 経常利益 | 4,600 | 8,195 | 10,200 | ↗ 会社全体の経常的な実力も大台へ |
💡 プロのチェックポイント(ここが良い!)
- 売上総利益率(粗利率)の上昇:売上の増加だけでなく、粗利率が68%→71%へと上昇しています。これは、原価高騰の波があっても**「商品やサービスの付加価値を高め、適切な値上げ(価格転嫁)ができている証拠」**であり、本業で稼ぐ力が強くなっているサインです。
- 営業利益率の上昇:売上が増えれば販管費(人件費やシステム投資など)も増えますが、売上の伸び以上に経費の増加を抑えられているため、営業利益率が10%から18%へと飛躍的に改善しています。
② 悪化する会社に見られる「危険なサイン」
逆に、資金繰りの悪化や将来的なリスクは、P/Lの時系列に以下のような変化として表れます。
売上総利益率の低下 コスト(原価)の上昇分を吸収できていない、あるいは競争激化などによって売上単価が下落している可能性があります。
人件費の急減 単にコストが減って利益が出やすくなったとポジティブに捉えるのではなく、業績悪化に伴うリストラ(人員削減)が行われている可能性を疑う必要があります。
資産売却による利益計上 本業の稼ぎ(営業利益)が少ない、または赤字であるにもかかわらず、土地などの資産売却によって特別利益を出し、最終利益を確保している場合があります。これは一時的な延命にはなりますが、将来の収益源そのものが減少している危険性があります。
売上高自体の減少 当然ですが、売上の減少はダイレクトに会社の資金繰り悪化に直結します。
| 区分・勘定科目 | 第1期 | 第2期 | 第3期 | トレンド・分析のポイント |
| Ⅰ 売上高 | 50,000 | 48,000 | 45,000 | ↘ 売上が順調に減少(顧客離れ・ジリ貧) |
| Ⅱ 売上原価 | 15,000 | 16,800 | 18,000 | ↗ 原価が高騰(仕入先からの圧力・効率悪化) |
| 売上総利益(粗利) | 35,000 | 31,200 | 27,000 | ↘ 粗利額が大幅に減少 |
| (売上総利益率) | (70.0%) | (65.0%) | (60.0%) | ↘ 粗利益率が毎年5%ずつ悪化(致命傷) |
| Ⅲ 販売費及び一般管理費 | 27,105 | 29,200 | 28,000 | 固定費を削減しきれていない |
| (うち 人件費) | (19,805) | (19,800) | (15,000) | ↘ リストラや給与カット等で人件費が急減 |
| 営業利益 | 7,895 | 2,000 | -1,000 | ↘ 本業が営業赤字に転落 |
| Ⅳ 営業外損益(差引) | 300 | -200 | -500 | 借入金利息の支払い増加などでマイナス幅拡大 |
| 経常利益 | 8,195 | 1,800 | -1,500 | ↘ 会社全体の実力も完全な赤字 |
| Ⅴ 特別利益 | 0 | 0 | 3,000 | ↗ 不動産や車両などの資産売却が発生 |
| Ⅵ 特別損失 | 0 | 0 | 0 | 一過性の損失はなし |
| 税引前当期純利益 | 8,195 | 1,800 | 1,500 | → 特別利益により表面上だけ黒字(化粧) |
💡 プロのチェックポイント(ここが危険!)
単年度(第3期だけ)を見ると「税引前で150万円の黒字」ですが、ヨコ(時系列)で見ると以下の危険なサインが隠れています。
- 人件費の急減:第3期で人件費が急激に減っています。コストが減ったと喜ぶべきではなく、業績悪化に伴う大規模なリストラ(人員削減)や、給与カットが行われている可能性があります。
- 売上総利益率(粗利率)の低下:70%→60%へと急激に悪化しています。仕入原価の高騰分を販売価格に転嫁できておらず、ビジネスモデルとして無理が生じています。
- 本業は赤字・資産売却による延命:本業の儲けである「営業利益」は赤字に転落しています。第3期に特別利益(300万円)を計上してなんとか最終黒字を取り繕っていますが、これは不動産や保険の解約など「資産の切り売り」によって一時的に延命している状態であり、来期以降の収益源そのものが減少している極めて危険なサインです。
このように、1年分の決算書を見ただけでは『なんとか黒字だな』と見過ごしてしまう危険な兆候も、3期分を並べて推移比較することで、初めて本質的な課題に気づくことができます。だからこそ、決算書の時系列分析は欠かせないのです
経済産業省推奨の「ローカルベンチマーク(ロカベン)」を活用しよう
会社の決算書を用いて自社の現状を分析し、同業他社と比較するために非常に役立つのが、経済産業省が提供している「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」です。 ロカベンは、企業の経営状態を把握するためのいわば「企業の健康診断ツール」として、多くの企業や支援機関で活用されています。
経済産業省ローカルベンチマーク(ロカベン)シートページ:https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/sheet.html
ロカベンを利用する3つの大きな利点
ロカベンを作成することには、単なる数字の分析にとどまらない大きなメリットがあります。
- 「財務」と「非財務」の両面から自社を深く理解できる
過去3期分の決算書に基づく6つの「財務指標」による評価だけでなく、業務フローや商流、経営者のビジョンといった数字に表れない「非財務情報」も整理できるように設計されています。これにより、自社の本当の強みや課題を立体的に把握できます。 - 金融機関などとの「対話の共通言語」になる
ロカベンは、多くの金融機関や支援機関に認知されています。これを用いて自社の状況を客観的に説明できるようになることで、資金調達などの際に金融機関からの信頼度が大きく高まります。 - 補助金申請などでも有利に働く
各種補助金や施策の申請ツールとしても推奨されており、事業計画書を作成する上での強力な土台となります。
ローカルベンチマーク作成ツールの種類と違い
ローカルベンチマークを作成するためのツールには、用途や目的に応じて主に3種類が提供されています。
① 経済産業省「ローカルベンチマーク(ロカベン)シート」
特徴: 最もオーソドックスな、Excel形式のツールです。
内容: 「6つの指標」(財務面)、「商流・業務フロー」(非財務面)、「4つの視点」(非財務面)の3枚組のシートで構成されています。 まずは基本の形で作成してみたい場合に適しています。
② 中小企業庁「ミラサポplus(WEB版)」
特徴: 中小企業庁の支援サイト「ミラサポplus」上で、直接入力・作成できるWEBツールです。
メリット: 主に企業経営者が自身で作成することを想定しており、入力フォームなどの作成補助機能が充実しています。また、作成 したデータをプロフィール代わりにしたり、任意の相手(金融機関や支援機関など)にWEB上で共有できる「共有機能」があるため、対話のきっかけ作りに非常に便利です。
③ 近畿経済産業局「ローカルベンチマークAct」
特徴: 基本のExcelシートをベースに、さらに機能を追加した拡張版のExcelツールです。
メリット: 最大の違いは、財務面の分析結果を元に**「次のアクション(Action)に向けたコメントが自動表示される」**という点です。「数字は出たが、この結果からどこにどう相談すればよいか分からない」という経営者の悩みを解消するためのナビゲーション機能が備わっています。
まずは当サイトの「財務健全性シミュレーター」で簡易診断を!
ロカベンは非常に優れたツールですが、本格的に作成しようとすると、過去3期分の詳細なデータの入力や、非財務情報の言語化などが必要になり、**「最初は少しハードルが高い」「時間がかかる」**と感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、**「まずは今すぐ、手軽に自社の現状を知りたい」という方のためにご用意したのが、当サイトに設置している『財務健全性自動シミュレーター』**です。
手元の決算書(損益計算書・別紙内訳)の数値を「万円単位」で以下に入力し、自社の業種を選択してください。自社の収益力、安全性、各種比率が基準値とどれほど乖離しているかをリアルタイムで自動測定・診断します。
■ 選択業種との重要財務指標 乖離分析
| 項目 | 自社の実数値(比率) | 業種別平均・正常目安 | 乖離状況 |
|---|---|---|---|
| 売上高経常利益率 | – | – | – |
| 人件費対売上高比率 | – | – | – |
| 諸経費対売上高比率 | – | – | – |
| 人件費対法定福利費比率 | – | 約 16.5% | – |
| 接待交際費対売上高比率 | – | 1.0% 〜 2.0% 未満 | – |
■ 損益分岐点売上高 & 限界利益
変動費と固定費のバランスから算出した指標です。売上が損益分岐点を上回っていることで初めて、会社にお金が残ります。
■ 安全余裕率 判定
■ インタレスト・カバレッジ・レシオ (ICR) 判定
■ 付加価値額・付加価値率 (加算法による算出)
本業の活動を通じて新しく創り出された「会社独自の稼ぎ出す価値」です。前年からの成長を評価するための基準として最適です。




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Tell:042-610-2881
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