今回は給与所得について、課税方法や外注費との違い、判定基準にも触れながら書いていこうと思います。
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給与所得とは?
所得税法上の所得は10種類に分類されます。
事業所得、給与所得、退職所得、雑所得、利子所得、配当所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得の10種類です。
そのうちの1つである給与所得とは、使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得をいいます。(所得税法28条)
つまり給与所得には、会社から支払われる給料や賃金、残業代、賞与などがすべて該当します。
給与所得に該当すると、所得税の課税対象となります。
所得の計算と課税方法
給与所得は次の方法で計算されます。
「収入金額(源泉徴収される前の金額) – 給与所得控除額 = 給与所得の金額(課税所得)」
給与所得は、事業所得などのように必要経費を差し引くことができない代わりに、所得税法で定めた給与所得控除額を給与等の金額から差し引きます。これを給与所得控除といいます。
また、所得税は累進課税制度が採用されており、課税金額が大きくなればなるほど税率が高くなります。
累進課税制度について詳しく書いた記事があるので、こちらも参考にしてみてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
年末調整と確定申告
給与取得者は給与を受け取る際に源泉徴収が行われます。
支払者(雇用者)が給与などから天引きして本人の代わりに国に納付する制度を源泉徴収制度といい、源泉徴収された所得税を源泉所得税といいます。
大部分の方は、勤務先で支払者(雇用者)により源泉所得税等の精算、つまり年末調整が行われるため、他に所得がない方は基本的には確定申告を行う必要はありません。
年末調整についても詳しく書いた記事があるので、ぜひ参考にしてみてください。
しかし、給与所得以外の所得がある方や医療費控除など、年末調整では受けられない控除を受けたい方は、確定申告を行う必要があります。
確定申告でしかできない所得控除は、医療費控除のほかに、雑損控除や寄付金控除があります。
給与所得の判定基準
一般的に給与といえば給料や手当、賃金、賞与などを金銭で支払われることが多いですが、食事の現物支給や商品の値引販売などの経済的利益をもって支給されるものも給与所得として扱われます。
給与所得の該当基準
給与とよく間違われるものが外注費です。その判断基準は以下の通りです。
給与の判断基準の例
- 使用者の指揮監督下での労働
- 労務対価性のある報酬を受け取る者
などに該当するか否かという基本的な基準とその他の要素等をもとに判断します。
給与と外注の違いと判定
支払われた給与は給与所得になり、支払者(雇用者)に源泉所得税の徴収義務が課せられます。
一方、外注は事業所得となり、必ずしも源泉所得税の対象とはなりません。
給与に該当するか、外注に該当するかという論点は、たびたび争点となっており、税務調査で指摘を受けやすいです。
外注と給与の判断要素として、国税庁HPの「源泉所得税における給与等の課税の取扱い」では、次のような判断基準を示しています。
外注として判断する基準の一部を抜粋すると、以下のようなものがあります。
- 雇用契約ないこと
- 他人が代替できる業務であること
- 時間的な拘束がないこと
- 業務の指揮監督の度合いが強くないこと
- 滅失したら報酬がもらえないこと
- 材料や道具の支給がないこと
などなど多くの判断要素がありますが、これらを満たしていない場合、給与と判断されることとなります。
給与所得にならないもの(非課税)
給与所得はその範囲が定められていますが、例えば以下のようなものは、非課税となります。
- 通勤手当のうち、一定金額以下のもの(月額15万円まで)
- 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
- 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの(勤務1回につき4000円まで)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/shikata2016/pdf/04.pdf
このほかに旅費、宿日直料、交際費等、祝金、見舞金、労働基準法に定められた補償金などの特殊な手当、そして食事や制服等の支給などの現物給与について、それぞれ非課税となる基準や取扱いが定められています。
まとめ
社会人にとっては身近な給与も、税金の話が絡むと複雑になります。
事業主にとっては給与かそれ以外かの判断が難しいので、専門家に相談してみましょう。
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