さて今回は、なぜ年末調整をするのか?です。
年末調整の調整は、所得税に関する調整の事を言います。
なのでまずは、軽く所得税について触れていこうかと思います。

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所得税

所得に対してかかる税金で、収入が増えるに連れて税率も上がる累進課税制度を取り入れています。
購入したものに対して、10%や8%などの決まった税率をかける消費税とは違い、収入が増えれば税率も上がります。
この累進課税制度は、前回に記事にしていますので良ければ読んでみて下さい。

所得税の【所得】とは?

所得税で言う所得とは、簡単に言うと手元に残るお金のことです。
例えると1000万円得るために700万円使ったなら残った300万円が所得になります。
言い方を変えると、手に入れた利益に対してかかるのが所得税です。

[例]
収入     経費    所得
1000万円 - 700万円 = 300万円

所得税の控除

上記の例えで1000万円得るために700万円使ったなら残った300万円が所得になると書きましたが、この例えで言うと300万円に所得税がかかるかと言うと少し違います。
税法ではこの300万円のうちでも税金の対象にならない分を定めています。
それが控除というもので所得税では、15種類も存在します。

有名なのだと、保険料控除や配偶者控除、扶養控除などがありますね。

上記の例えに当てはめた話にすると、1000万円を得るために使った費用ではないけど、所得とはみなさないねっと言うのが控除というわけです。

[例]
所得    給与控除額 基礎控除額  所得税の対象額
300万円 - 55万円 - 48万円 =  197万円
(あくまでものすごくザックリな例えです…)

源泉所得税

給料明細などで、源泉所得税や源泉徴収と書かれているのを見たことがあると思います。
これは、一定額以上の給料を支払う事業者が、給料の支払いを受ける人(従業員など)から支払額に応じた所得税を預かり、代わりに納税すると言う事業者に課された義務です。

一応、納税者の負担を減らし税収の安定を図ると言う効率的な徴税方法になっています。(諸説はありますが…)

年末調整

会社員の方は毎年、勤め先の会社に扶養控除申告書や保険控除申告書を提出したり、源泉徴収票をもらったりしているかと思います。
正直何をしてるかは理解していないと言う方が殆どではないでしょうか?

簡単に言うと社員の代わりに会社が確定申告をしてくれているようなものです。

副業をしていて年間20万円以上の収入があるなどの、何か特別に申告すべきことがある方以外は自ら確定申告をしなくて良いので納税の負担がだいぶ低くなっているかと思います。

年末調整が必要な理由

上記で所得税は、手に入れた利益に課税されると書きました。
ですが源泉所得税は、給与のほぼ全額(社会保険料や年金、住民税などを除きます)に課税されます。

しかし所得税には、控除が存在します。
保険料を支払っていたり、配偶者や扶養家族がいるなど、所得とはみなされない部分を無視して徴収するのが源泉所得税になります。

なので一年の終わりに控除を加味して計算し直すのが年末調整になります。

他にも所得税は、本来その人の年収に対してかかる税金です。
毎月引かれる源泉徴収は、所得税の概算で行うので年収が確定した年末に改めて計算し直す必要があります。
その時に徴収額との差異がはれば返還、もしくは追加で徴収する必要があります。

源泉所得税の追加徴収

今までの話の流れだけだと追加で徴収する事は、なさそうに感じますね。
しかし給料の源泉徴収は、月額で言うと8万8千円以下の場合、徴収しなくても良い事になっています。

給料での、所得税のかかる最低年収は、103万円。
(給料所得の場合、給与控除:55万円と基礎控除48万円が必ず控除されるので合計103万円まで所得税の対象になりません)

しかし、毎月の給料が8万8千円だとしても年収は、105万6千円になり103万円を超えてしまうので所得税の対象になります。
(もちろんその他の控除があれば所得税がかかるとは限りませんが)

結果、年末調整で年収を出してみたら所得税の対象になっていたので追加徴収、と言うことが起こりえるわけです。

終わり

今回は、意外とみんな知らない年末調整について書いてみました。(知ってたらすいません!)
記事を書いてる現在、まさに12月半ばの年末調整シーズンという事で記事にしてみましたがいかがでしたでしょうか?
この流れで次回から、流行りの副業の確定申告についても書いていこうと思いますのでよろしくお願いします!